離婚後の苗字(姓)はどうする?「婚氏続称」のメリット・デメリットと、子供の戸籍変更で知っておくべき注意点
離婚届を提出する際、多くの人が直面する大きな選択肢の一つが**「苗字(姓)をどうするか」**という問題です。
「旧姓に戻して心機一転スタートしたい」という気持ちがある一方で、「仕事での呼び名が変わると不便」「子供の苗字が変わっていじめられないか心配」といった不安も尽きないものです。
実は、離婚後も結婚していた時の苗字を使い続ける**「婚氏続称(こんしぞくしょう)」**という選択肢があります。この記事では、旧姓に戻す場合と、今の苗字を使い続ける場合のメリット・デメリット、そして見落としがちな「子供の戸籍」に関する重要なルールを詳しく解説します。
1. 「旧姓に戻す」か「今のまま」か?2つの選択肢
離婚すると、原則としては婚姻前の苗字に戻ります(復氏)。しかし、手続きを行うことで結婚時の苗字をそのまま名乗り続けることも可能です。
婚氏続称(今の苗字を使い続ける)のメリット
社会的な混乱が少ない: 仕事関係や近所付き合いで、離婚したことを知られずに済みます。名刺やメールアドレスの変更も不要です。
名義変更の手間が減る: 銀行口座、クレジットカード、運転免許証などの名義変更を最小限に抑えられます。
子供との苗字が一致する: 子供が学校などで苗字が変わることによるストレスを感じさせずに済みます。
婚氏続称のデメリット
心理的な区切りがつきにくい: 元配偶者とのつながりを感じ続けてしまう場合があります。
親族との関係: 自分の実家の両親や親族から、旧姓に戻してほしいと言われるなどの葛藤が生じることがあります。
再婚時の複雑さ: 再婚して新しい苗字になる際、戸籍の履歴が少し複雑に見えることがあります。
2. 婚氏続称の手続きには「期限」がある!
今の苗字を使い続けたい場合、**「離婚の日から3ヶ月以内」**に役所へ「離婚の際に称していた氏を称する届(戸籍法77条の2の届)」を提出する必要があります。
離婚届と一緒に提出: 最もスムーズな方法です。
後から提出: 離婚届を出した後でも、3ヶ月以内なら単独で届け出が可能です。
3ヶ月を過ぎた場合: 家庭裁判所の許可が必要になり、ハードルが格段に上がります。「とりあえず旧姓に戻したけれど、やっぱり不便だから今の苗字に戻したい」という場合も、裁判所の許可が必要です。
3. 要注意!「親の苗字」と「子供の苗字」は別物
ここが一番の落とし穴です。親が「婚氏続称」を選んで元夫と同じ苗字を名乗っていても、子供の戸籍と苗字は自動的には変わりません。
離婚直後の状態
離婚届を出すと、筆頭者ではない側(多くの場合は妻)は元夫の戸籍から抜けますが、子供は元夫の戸籍に残ったままです。たとえ母親が親権を持っていても、子供の苗字は「元夫の氏」のままであり、戸籍も別々の状態になります。
子供を自分の戸籍に入れ、苗字を合わせる手順
子供を自分と同じ戸籍に入れ、法的に「同じ苗字の家族」にするには、以下のステップが必要です。
家庭裁判所へ申し立て: 「子の氏の変更許可」の申し立てを行います(即日〜数日で許可されることが多いです)。
役所へ入籍届を提出: 裁判所の許可書を持って、市区町村役場に「入籍届」を出します。
この手続きを経て初めて、子供は母親の新しい戸籍に入り、実生活でも法律上でも同じ苗字を名乗ることになります。
4. どっちが正解?選ぶための判断基準
どちらにすべきか迷っている方は、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
旧姓に戻したほうがいい人:
元配偶者との縁を完全に切り、心機一転したい。
子供がまだ未就園児で、苗字が変わる影響が少ない。
実家の家業を継ぐ予定がある。
今の苗字(婚氏続称)がいい人:
今の苗字でキャリアを築いており、名前が変わると仕事に支障が出る。
子供が小学生以上で、学校での友達関係や多感な時期への影響を避けたい。
膨大な名義変更の手続き(銀行、カード、免許等)をこなす時間が取れない。
5. まとめ:後悔しないためのシミュレーションを
苗字の問題は、一度決めてしまうと後から変更するのが非常に大変です。
「とりあえず」で決めるのではなく、**「仕事での自分」「親としての自分」「一人の人間としての自分」**の3つの視点から、5年後、10年後の生活をイメージしてみましょう。
また、苗字をどうするか決めたら、同時に「子供の氏の変更」についても家庭裁判所の場所や必要書類を確認しておくと、離婚後のバタバタの中で慌てずに済みます。
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