別居中でも生活費はもらえる?「婚姻費用」の相場と、離婚回避を有利にする請求の全手順


「パートナーから突然別居を突きつけられた」「家を出ていかれたけれど、これからの生活費が不安……」

離婚を回避したいと願っている最中に別居が始まると、精神的なショックだけでなく、現実的な「お金」の問題が重くのしかかってきますよね。特に専業主婦(主夫)の方や、パート勤務で収入が少ない方にとって、パートナーからの送金が止まることは死活問題です。

しかし、安心してください。法律では、離婚が成立するまでは**「婚姻費用(こんいんひよう)」**として、夫婦が同等の生活を送れるよう助け合う義務が定められています。

この記事では、別居中でもしっかり生活費を受け取るための費用の相場や、離婚回避に向けた有利な請求手順、そして損をしないための法的知識を詳しく解説します。


1. 「婚姻費用」とは?別居しても支払われるべき生活費

婚姻費用とは、夫婦と未成熟子が通常の社会生活を維持するために必要な費用のことです。具体的には、住居費、食費、光熱費、医療費、教育費などが含まれます。

支払われる期間

  • 別居開始から、離婚成立(または同居再開)まで

    たとえ相手が「勝手に別居したんだから払わない」と言い張っても、法律上の夫婦である限り、収入の多い側は少ない側に対して生活費を支払う義務があります。

離婚回避において「婚姻費用」が重要な理由

実は、生活費をしっかり請求することは、離婚回避の強力な武器になります。相手にとって「別居していても毎月一定の金額を払い続けなければならない」という状況は、経済的な負担となります。その結果、「安易に別居を続けるよりも、一度戻って話し合ったほうがいいのではないか」という心理的ハードルを生むことができるのです。


2. 婚姻費用の相場はいくら?「算定表」でチェック

婚姻費用の金額は、基本的に**「双方の年収」「子どもの人数・年齢」**によって決まります。裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」が基準となります。

相場の目安(例:夫が会社員、妻が専業主婦の場合)

  • 夫の年収500万円・子どもなし: 月額 6万〜8万円程度

  • 夫の年収700万円・子ども1人(5歳): 月額 12万〜14万円程度

  • 夫の年収1000万円・子ども2人: 月額 20万〜24万円程度

ポイント: 相手が住宅ローンを支払っている場合や、特別な医療費がかかる場合は金額が前後することがあります。まずは自分のケースの適正価格を知ることが大切です。


3. 離婚回避を有利にする!生活費請求の全手順

「払ってほしい」と口頭で伝えるだけでは、相手に無視されるリスクがあります。法的根拠を持って、着実に進めるステップがこちらです。

ステップ①:内容証明郵便で「請求」の意思表示をする

婚姻費用は、原則として**「請求した時点」**からの分しか認められません。あとから「別居開始までさかのぼって払って」と言うのは難しいため、まずは「○月分から生活費を支払ってください」という内容証明郵便を送り、証拠を残しましょう。

ステップ②:婚姻費用分担請求の調停を申し立てる

話し合いがスムーズにいかない場合は、家庭裁判所に「婚姻費用分担請求の調停」を申し立てます。

  • 調停委員が間に入り、算定表に基づいた妥当な金額を提示してくれます。

  • 離婚を避けたい場合、この調停と並行して「円満調停(夫婦関係調整調停)」を申し立てるのが、修復に向けた王道ルートです。

ステップ③:公正証書や調停調書を作成する

金額が決まったら、必ず書面に残します。特に「調停調書」や「強制執行認諾文言付きの公正証書」にしておけば、万が一支払いが滞ったときに、相手の給与を差し押さえることが可能になります。


4. 婚姻費用請求でやってはいけない「注意点」

有利に進めるために、以下の2点には特に注意してください。

  • 自分から不貞行為(浮気)をして別居した場合は?

    自ら婚姻関係を破綻させた側(有責配偶者)からの婚姻費用請求は、自分の生活費分は認められず、子どもの養育費相当分のみに制限される可能性が高いです。

  • 勝手に相手のクレジットカードを使いすぎる

    「生活費をくれないから」と、相手名義のカードで高額な買い物をし続けると、後の離婚裁判や調停で「浪費癖がある」と不利な材料にされる恐れがあります。


まとめ:経済的な安定が、心の余裕と修復を生む

別居中の生活費を確保することは、わがままではありません。あなたが冷静にこれからの夫婦関係を考えるための、正当な権利です。

お金の不安がなくなれば、焦って相手にすがりつく必要もなくなります。どっしりと構えて「私はやり直したい。でも生活の権利は守る」という毅然とした態度を示すことが、相手にあなたの価値を再認識させるきっかけになるはずです。


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