住宅ローンを組んだら生命保険は解約できる?「団信」加入後に見直すべき保障の過不足
「念願のマイホームを購入!でも、住宅ローンの支払いに加えて、今の保険料も払い続けるのは正直きつい……」
「住宅ローンを組むと入る『団信』って、生命保険の代わりになるって本当?」
家を建てたりマンションを購入したりした際、多くの方が直面するのが「保険の重複」という問題です。実は、住宅ローンを組むタイミングは、人生で最も「保険料を大幅に節約できるチャンス」だと言っても過言ではありません。
なぜなら、住宅ローンとセットで加入する「団体信用生命保険(団信)」には、強力な死亡保障が含まれているからです。これを知らずに、独身時代や賃貸住まいの時と同じ生命保険を続けていると、毎月数千円から数万円という「本来払わなくていいお金」を捨てていることになります。
この記事では、団信加入後に「どの保険を解約していいのか」「どの保障を残すべきなのか」という見直しの優先順位と、損をしないための注意点を詳しく解説します。
1. そもそも「団信(団体信用生命保険)」とは何か?
住宅ローンを組む際、ほとんどの金融機関で加入が義務付けられているのが「団信」です。
団信とは、ローン返済中に契約者が亡くなったり、所定の高度障害状態になったりした場合に、保険金で住宅ローンの残り(残債)がすべて返済される仕組みの保険です。
つまり、万が一のことがあっても、残された家族には「ローンが完結した家」が残ります。これにより、それまで生命保険で備えていた「住居費」としての死亡保障が不要になるのです。
2. 団信加入後に「生命保険」を解約・減額できる理由
なぜ、団信に入ると生命保険を見直せるのでしょうか。その理由は、生命保険の「必要保障額」の考え方にあります。
通常、生命保険の死亡保障は以下の3つの合計で計算します。
残された家族の生活費
子供の教育費
住居費(家賃や住宅ローン)
賃貸住まいの場合、世帯主に万が一のことがあれば、家族はその後も家賃を払い続けなければなりません。そのため、数千万円という大きな死亡保障が必要でした。
しかし、持ち家で団信がある場合、3番の「住居費」が団信によってカバーされます。家族はローンを払わずにその家に住み続けられるため、生命保険で準備すべき金額から「将来払うはずだった住居費分」をまるごと差し引くことができるのです。
3. 「解約していい保険」と「残すべき保障」の境界線
ここが最も重要なポイントです。「団信があるから全部解約!」というのは早計です。必要なものと不要なものを仕分けましょう。
A. 大幅に減額・解約を検討していいもの
高額な死亡保障(定期保険・終身保険):
例えば、3,000万円や5,000万円といった大きな死亡保障をつけている場合、その多くは住居費を想定しています。団信加入後は、残された家族の「純粋な生活費」と「教育費」だけで済むため、保障額を半分以下に減らせるケースが多いです。
収入保障保険の過剰な部分:
毎月20万円受け取れる設定にしているなら、住居費がかからなくなる分、月10万円〜15万円に下げても生活水準を維持できるはずです。
B. 解約してはいけない(または慎重にすべき)もの
医療保険・がん保険:
団信は基本的に「死亡」や「高度障害」をカバーするもの。入院や手術、がん治療にかかる費用はカバーしてくれません。これらは継続、あるいは最新の保障内容にアップデートする必要があります。
教育資金としての学資保険:
「万が一の時」ではなく、将来の「教育費」として積立をしている場合は、団信とは役割が異なるため、安易に解約すると教育資金が不足する恐れがあります。
4. 近年の「高性能団信」ならさらに見直しが進む
最近の住宅ローンでは、死亡時だけでなく特定の病気になった際にもローンがゼロになる「特約付き団信」が増えています。
三大疾病保障付き団信:
がん、急性心筋梗塞、脳卒中になった際、ローン残高がゼロになります。これに加入している場合、民間のがん保険の保障額を下げたり、診断給付金の用途を「治療費」だけに絞ったりすることが可能です。
全疾病保障・就業不能保障付き:
病気やケガで働けなくなった時にローンの支払いが免除されるタイプ。これを活用すれば、民間の「就業不能保険」の代わりとして機能します。
ただし、これらの特約は「ローンの金利が0.1%〜0.3%上乗せ」されることが一般的です。民間の保険料と、上乗せされる金利の総額を比較して、どちらが安いかを計算するのが賢い選択です。
5. 見直しで「月5,000円以上」固定費を浮かす具体的ステップ
住宅ローン開始後の家計を楽にするために、以下の順序で行動しましょう。
ステップ1:団信の「保障範囲」を100%把握する
自分が選んだ住宅ローンの団信が「何をもってローンゼロになるのか」を正確に知ってください。「がんと診断されたら即ゼロ」なのか、「1年間の就業不能状態が続いたらゼロ」なのかで、残すべき民間保険が変わります。
ステップ2:遺族年金の額を確認する
会社員の方であれば、万が一の際には国から「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」が支給されます。
「遺族年金 + 団信による住居費ゼロ = 足りない分だけ生命保険」
この数式を当てはめるだけで、驚くほど保険料は安くなります。
ステップ3:三角形の保険「収入保障保険」に乗り換える
もし、四角い保障(いつ亡くなっても3,000万円など)に入っているなら、三角形の保障(年月の経過とともに受取総額が減る保険)に切り替えましょう。住宅ローンの残高も年々減っていくため、この三角形の形が最も合理的で、保険料も格安です。
6. 注意!団信でカバーできない「盲点」とは?
見直しにあたって、以下のリスクだけは忘れないでください。
「家族の住居」は守れるが「生活費」は別:
家は残りますが、食費や光熱費、教育費が消えるわけではありません。団信を過信して死亡保障をゼロにするのは危険です。
健康状態が悪化すると入り直せない:
既存の生命保険を解約した後に、「やっぱり新しい保険に入りたい」と思っても、住宅ローン審査時の健康状態によっては加入を断られることがあります。新しい保険の契約が成立してから、古いものを解約しましょう。
離婚や売却時のリスク:
もし家を手放すことになった場合、団信の保障も消滅します。その際、無保険状態にならないよう、ライフプランの変化には柔軟に対応する必要があります。
まとめ:住宅ローンは「家計の贅肉」を落とす最高のタイミング
住宅ローンの支払いが始まることは、家計にとって大きな負担増に見えます。しかし、団信を賢く活用し、不要になった生命保険を整理することで、トータルの支出を抑えることは十分に可能です。
「保険料が高い」と感じているなら、まずは銀行から渡された団信のパンフレットと、今加入している保険の証券を並べてみてください。
重複している部分を削るだけで、月々5,000円、10,000円というお金が手元に残ります。そのお金は、新しい家での家具購入や、将来の繰り上げ返済、あるいは豊かな生活のために使うべき貴重な財産です。
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