生命保険はいらないって本当?公的保障で足りない分を計算してわかった「必要な人」の条件


「生命保険なんて無駄、日本は公的保障が充実しているからいらない」

SNSやネット記事で、こうした「保険不要論」を目にすることが増えました。確かに、日本は世界的に見ても健康保険や年金などの公的保障が非常に手厚い国です。

しかし、誰にとっても「いらない」わけではありません。逆に、不要論を鵜呑みにして無保険のまま過ごし、いざという時に貯金が底をついて生活が破綻してしまうケースも存在します。

この記事では、日本の公的保障で「どこまでカバーされるのか」を具体的にシミュレーションし、民間保険が本当に必要な人の条件を浮き彫りにします。


1. そもそも「保険不要論」が出る3つの理由

なぜ「生命保険はいらない」と言われるのでしょうか。その根拠は主に3つの公的制度にあります。

① 高額療養費制度があるから

大きな病気で手術や入院をしても、個人の支払額には月ごとの上限(一般的な年収の家庭で月8万〜9万円程度)が定められています。さらに、数ヶ月以上治療が続く場合は「多数回該当」となり、上限額がさらに下がります。

② 遺族年金がもらえるから

一家の稼ぎ手が亡くなった場合、残された家族には国から遺族年金が支給されます。特に子供がいる世帯への保障は手厚く、自営業でも会社員でも一定の生活費は確保できるようになっています。

③ 傷病手当金があるから(会社員・公務員のみ)

病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から最長1年6ヶ月の間、お給料の約3分の2が支給されます。これにより、すぐに無収入になるリスクは避けられます。


2. 公的保障で「足りない分」をシミュレーション

では、具体的にいくら不足するのでしょうか。ここが「必要な人」と「不要な人」の分かれ目です。

医療費の落とし穴:差額ベッド代と食事代

高額療養費制度で医療費の上限が決まっていても、以下の費用は全額自己負担です。

  • 差額ベッド代(個室などを希望した場合):1日平均約6,000円〜数万円

  • 入院中の食事代:1食あたり定額負担

  • 先進医療の技術料:数百万円かかるケースもあるが、公的保険の対象外

1ヶ月の入院でも、医療費以外の自己負担だけで15万〜20万円ほど上乗せされる可能性があります。

死亡時の落とし穴:遺族年金だけでは「住居費と教育費」が足りない

例えば、会社員の夫(平均年収)が亡くなり、妻と子供2人が残された場合、遺族年金は月額13万〜15万円程度になることが多いです。

しかし、賃貸住まいで家賃が8万円かかる場合、残りの7万円で3人の食費、光熱費、教育費をすべて賄うのは現実的に不可能です。


3. 生命保険が「本当に必要な人」3つの条件

公的保障を計算した結果、民間保険で備えるべき人は以下のような条件に当てはまる方です。

条件1:貯蓄がまだ少ない人(特に30代・40代)

「万が一」が起きた際に、すぐに動かせる現金が200万〜300万円以上ない場合、保険の必要性は極めて高いです。保険は、貯金が貯まるまでの「期間の保障」と考えるのが合理的です。

条件2:自営業・フリーランスの人

会社員と違い、自営業には「傷病手当金」がありません。また、受け取れる遺族年金も会社員より少なくなります。働けなくなった瞬間に収入がゼロになるリスクがあるため、就業不能保険や医療保険の優先度が高くなります。

条件3:子供がいる・住宅ローンがない(賃貸)人

子供の進学費用は、公的保障だけでは到底足りません。また、住宅ローンがあれば「団体信用生命保険」で住居費がなくなりますが、賃貸住まいの場合は家族の家賃負担が続くため、手厚い死亡保障が必要になります。


4. 逆に「生命保険がいらない人」の特徴

以下に当てはまる方は、高い保険料を払ってまで民間保険に入る必要性は低いと言えます。

  • すでに十分な資産(1,000万円以上など)がある人:医療費も葬儀代も貯金から出せます。

  • 独身で、自分以外に養う家族がいない人:死亡保障は不要です。

  • 公務員や大企業の会社員で、付加給付が充実している人:健康保険組合独自の制度で、医療費の自己負担がさらに抑えられている場合があります。


5. まとめ:損をしないための「引き算」の考え方

生命保険が必要かどうかは、「いくらもらえるか」ではなく**「最悪の事態になった時、貯金と公的保障を足して、いくら足りないか」**という引き算で決まります。

  1. まず公的保障を知る(高額療養費、遺族年金、傷病手当金)

  2. 自分の貯金額を確認する

  3. 足りない金額だけを「掛け捨て保険」で安く補う

これが、保険料を最小限に抑えつつ、最大限の安心を得るための賢い戦略です。「いらない」という極論に振り回されず、自分の家庭の数字を一度計算してみることが、一番の節約への近道となります。


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